「シナリオ」営業概論 part.20

〈一次営業〉での解決編01:「課題」の傾聴

「シナリオ」営業、実践「する」と「しない」を比較

「シナリオ」営業、実践「する」と「しない」を比較

ここからは、「〈一次営業〉での解決編」として、課題を深掘りすることで、お客さまのニーズをしっかり把握していくことの大切さを説明していきます。

それではさっそく、営業担当が「シナリオ」営業のセオリーを一定程度理解し身につけていたら、どんな成功があり得るのか? よくある失敗例と、「シナリオ」営業を実践した成功事例を比較して見ていきましょう。
まずは一次営業の冒頭のシーンから比較します。
シーンを比べて見て見ることで、営業担当の姿勢がまったく違っていることに気付くでしょう。


【 ✕ 失敗編:顧客の話をスルーしてしまう 】

□営業担当:今回のお問い合わせの背景は何でしょうか?

■お客さまA:顧客数が増えて、前のように顧客別に売上や費用を細かく把握できなくて、中には赤字の顧客もいる気がするんです。

□営業担当:なるほど!

■お客さまB:顧客別にエクセル入力しているのですが、経理データとは一致しなくて......その突き合わせが大変なんです。

□営業担当:では、プロダクトの説明に移ります。

■お客さまAB:.......... 。


【 ◯ 解決編:顧客の話を整理し、課題の前提を掘り下げる 】

□営業担当:今回のお問い合わせの背景は何でしょうか?

■お客さまA:顧客数が増えて、前のように顧客別に売上や費用を細かく把握できなくて、中には赤字の顧客もいる気がするんです。

□営業担当:顧客別での利益の管理と、データ確認の工数を削減したいのですね。

■お客さまB:顧客別にエクセル入力している のですが、経理データとは一致しなくて...その突き合わせが大変なんです。

□営業担当:赤字の顧客数は、どの程度なのでしょうか?

■お客さまA:細かく数字を見ていないですが、2~3割は赤字のイメージです。

□営業担当:エクセルでの分析からは分からないのですか?

■お客さまA:エクセルでは、一部の費用しか反映していないので赤字かどうかまでは分かりません。

キャッチボールと中身の掘り下げ、できている?

失敗編では「モノ」売りスタイルに偏ったコミュニケーションしか考えず、質問はするものの、1つか2つだけ。
お客さまからほんの少しの情報しか聞き出さず、本当のニーズにたどり着こうともしないまま、商品説明の「台本」 にいち早く移ろうとしています。

しかし、解決編は言葉の数からして大きく違います。
しかもひとつ一つの話題でキャッチボールが成り立ち、中身も掘り下げられていますよね。

課題レイヤーの方向性は見えている?

さらに会話の中身を細かく見ていくと、お客さまAは、顧客別の売上・費用の管理ができていないという話ではなく、その結果として赤字顧客が増えているという話をしています。
課題のレイヤーとしては、「事業戦略レイヤー」のように思えます。

しかし、お客さまの「気がする」という言い方が引っかかります。
しっかり事実として、確認しているわけではなさそうな、自信のない言い方になっています。
すかさず営業担当は、「赤字の顧客数はどの程度なのでしょうか?」と、具体的な数値を聞いています。
「単なる悩み相談ではなく、課題として取り上げるべきかどうか」を見極めるための質問をしているのです。

また、解決するだけのインパクトがあるかどうかも確かめています。
結局、2〜3割は赤字というイメージだけということで、具体的な数値は出てこず、「大きなインパクトはありそうだが、数値把握がなく怪しい」との見立てを営業担当は持ちました。

ギブ・アンド・テイクのバランスも大切

ここまでの段階でお客さまが話している課題は、まだまだ本当の課題かどうかも分からない状態です。
赤字顧客が増加しているのが事実だとすると、相当なインパクトのある課題であるものの、数値として明確になっていません。

このままでは他の課題ともつながりは見えず、組織ニーズかどうかも怪しい状態です。
さらに質問を続けていくこともできますが、この営業当はいったん質問を終えました。
あまり質問ばかりが続くと、相手も嫌気がさしてしまいます。

情報のギブ・アンド・テイクのバランスを保つことも重要なのです。

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