「シナリオ」営業概論 part.37

〈二次営業〉での解決編03:ニーズを掘り下げるとズレがみえてくる

失敗例と解決例の会話を比較してみよう

失敗例と解決例の会話を比較してみよう

Part7~9の〈一次営業〉での失敗編をふりかえると、営業担当者は以下のようにお客さまとの一問一答の答えがズレてしまう営業をしていました。

【 〈一次営業〉での失敗編  】
■お客様:一通りのことができるのは、分かりました。赤字顧客の分析という点では何ができるんですか?

□営業担当:データが入っていれば、顧客別に分析することができます。

■お客様:管理担当者が自分で分析できるのですか?

□営業担当:導入企業の多くは、現場担当者が活用していますよ!

■お客様:どう使う事例が多いですか?

□営業担当:導入事例はたくさんあります。

一次営業 ではまだ最初でしたから、お客さま担当者もかすかな期待をかけてくれていました。
しかし、とうとう二度目の訪問では以下のように「ズレ」が決定的となり「ダメだこりゃ...」の烙印を押されようとしています。


【 ✕ 失敗編:ズレに気づかないまま、追加の提案 】
□営業担当:弊社の売りであるダッシュボード機能の事例をお持ちしました。

■お客さま:(だからそこでなくて、赤字顧客の分析をできるかが知りたいのだけど...)

□営業担当:毎日データがアップデートされて、ワンクリックで元データまでさかのぼれます。

■お客さま:(やっぱりこの人分かってなかった。データ収集する機能に興味があるのに。

□営業担当:御社と同じ業界では、数社がお使いです。


【 ◯ 解決編:ニーズを掘り下げると、ズレも見えてくる 】
□営業担当:支払処理の際に、稟議番号を記入してもらい、稟議時点の想定費用とひも付けます。

■お客さま:ちゃんと担当者が稟議番号を記入してくれますかね。

□営業担当:入力しないと次に進めないとか、稟議番号の一覧からプルダウンで選んでもらうことで対応できます。

■お客さま:やっぱり、売上とセットで管理したいです。赤字企業だけでなく、顧客別の利益額を比較することで気づくこともあると思うんです。

□営業担当:そうですね。社内へのレポートという観点からは、利益を一覧で横比較できたら喜ばれますよね。

解決編の会話で変わったのは「課題のレイヤー」

解決編では、前回つかみとった「費用管理の機能を課題の解決につなげたい」というお客さまの現状を、営業担当はさらに掘り下げて質問を重ねていきます。
ここでは自社に出来ることをぶつけながら、「稟議時点の費用想定とのひも付け」という、より具体的な解決に向けた案を出しています。
大まかな方針や方向性という段階から、今後のアクションに近いところまで話が具体化してきました。
言い換えると、課題のレイヤーがオペレーションからエグゼキューションへと一段現場寄りになったと言ってもよいでしょう。

大切なのはニーズを掘り下げ、すり合わせていくこと

ただお客さまのやりたいことを聞いていても、なかなか受注までつながりません。
営業担当が提供しようとしているのは、データ活用を促進するツールですから、このツールができる「赤字顧客の分析」という「ベネフィット」も伝える必要があります。
その上でベネフィットがどれだけお客さまのニーズに合致できるかどうかが問われます。

ここでは稟議データを使った費用管理機能から話をスタートしましたが、お客さまから、「本当にできるのか」と反応されてしまいました。
そこで、必須入力やプルダウンからの選択機能という話をさらにしています。
このようなやり取りを重ねながら、ニーズをすり合わせていくのです。

ニーズとベネフィットはズレる方が普通

最後に女性のお客さまから「売上もセットで管理したい」の言葉が出ています。
ここまで課題を丁寧に掘り下げてニーズを把握して来たはずなのに、ニーズとベネフィットのズレが発生してしまいました。
しかし、焦る必要はありません。
なぜなら、ニーズとベネフィットは最初からキレイにマッチングする方が少ないのですから。
営業担当は決してムキになどらなず、いったん「そうですね。できた方が社内で喜ばれますよね」と受け流しています。
まずは、ズレを受け止めて、合わせる。
この判断は間違っていません。
ニーズとベネフィットのズレが必ず発生することを前提として、自然体で望むべきなのです。

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Part7~9 〈一次営業〉での失敗編
https://scenario-sales.straddle.co.jp/journal/introduction

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