「シナリオ」営業 相談室 vol.005

営業マンの受注の見せ場を放棄!?
クロージングをしない営業ってアリ?

シナリオ営業相談室とは?

営業エキスパートの小貫さんが、今日から使える営業のポイントをわかりやすく解説します。

登場人物

  • 小貫さん

    1,000人の営業を見てきた
    コンサルタント。

  • 佐藤君

    1年目の新人営業マン。

最近、営業の見せ場ともいえる「クロージング」をしない人が増えているらしい。
どうして? それでいいの?
営業1,000人を見てきた小貫さんに聞いてみました。

Point

クロージングをしない営業がある

佐藤君

営業にとって「クロージング」って一番大事なプロセスだと思うんですけど、それをしないとかってあり得るんですか?

小貫さん

そもそもクロージングをあまり期待されていない営業が存在します。
「アカウント営業」というもので、私も商社時代にやっていました。

アカウント営業

「僕の担当はトヨタさんです」

  • 顧客別で営業担当が決まっている
  • すべての商材を一人の営業担当が取り扱う
  • 取引関係が長期に渡る大企業間で多く見られる

Point

「アカウント営業」のゴールはお客さんとの関係を維持すること

小貫さん

アカウント営業のゴールは、「この商品を必ず売ります」ではなくて、
お客さんとの継続的な関係を維持していくことにあります。

佐藤君

お客さんに好かれて、いつでも会えるようにするってことですか?

小貫さん

その通り。それに加えて、お客さんと付き合い続けながら、ニーズが出てきたタイミングで適切な商品をすぐに提案することが求められます。

アカウント営業に求められること

相手の意向に沿い関係を継続する(返事を待つ姿勢)
①お客さんとの継続的な関係の維持(商流の維持)
②お客さんが迷ってしまう商材を提案して無理に説得しない 

アカウント営業がしてはいけないこと

お客さんとの関係悪化(緊張関係を生む決断を迫るクロージング)

Point

「アカウント営業」じゃないのに、クロージングをしない営業が増えている!?

小貫さん

でも最近はアカウント営業でもないのに、クロージングできない営業が増えています。そこには「できない」というよりも「しない」印象があります。

新人の営業担当者がクロージングをしない理由

  • 売るという行為自体が初めて
  • お客さんに対して臆病で、一歩踏み込むことを怖がる傾向
  • お客さんに嫌われるリスクを過剰に恐れて、クロージングをできない
小貫さん

さらに最近では、ベテランの営業にも、その傾向が増えているようです。
どうしてだと思いますか?

佐藤君

僕なら、買うか買わないかを迫るクロージングをして、お客さんとの関係が悪くなるくらいなら、相手が決断するまでジッと待った方がいいと思ってしまいます。

小貫さん

世の中の流れとしても、お互いに傷つけあわない関係が心地よいということでしょう。それだけでなく、お客さんに決断させない方が自分にとってメリットになることもあります。

Point

クロージングを「しない」理由

小貫さん

 営業担当からすると、手持ちの案件がなくなり新規案件の開拓をガンバるよりも、提案できる案件として継続するほうがラクなのです。だから「まだ説明し切れてない機能があるんです」とか、「お客さんから追加の質問が出てきました」と言って延命を図る人もいます。

佐藤君

確かにそう考えてしまえば、クロージングをしない方が、少ない努力でもがんばっているように見えますよね...

小貫さん

そうなのです。逃げ道をなくすためには、クロージングへの「具体的なタイミング」の目安をつくる必要があります。人間は、期限がないと一歩踏み込みにくいものなのです。 

Point

営業マネージャーがやるべきこと

小貫さん

本来営業は、提案を通じて商品・サービスの情報提供をしているのですから、「いつまでに、どういう条件だったら買うのか?」を確認することは当然の権利としてあるわけです。買うかどうかの判断は当然お客さんがしますが、そのタイミングまでお客さんに委ねてしまってはダメです。

佐藤君

いつまでもズルズルと商談が続いてしまわないよう、やはりどこかで断ち切るクロージングは必要なんですね。

小貫さん

そうですね。だからこそ、営業マネージャーが具体的に持って、ここまで来たら必ずクロージングするという目安を持ち、誘導する必要があるんです。

今日のまとめ

しっかりとクロージングするために、営業マネージャーが具体的な目安を持って誘導しよう!