「シナリオ」営業 相談室 vol.008

営業が得意な人ほどワナにはまる!?
ベテラン営業マンが失敗する理由って?

シナリオ営業相談室とは?

営業エキスパートの小貫さんが、今日から使える営業のポイントをわかりやすく解説します。

登場人物

  • 小貫さん

    1,000人の営業を見てきた
    コンサルタント。

  • 佐藤君

    1年目の新人営業マン。

トップ営業を目指し、日々奮闘する佐藤くん。今日は、1,000人の営業を見てきた小貫さんが、経験豊富なベテラン営業マンでもしてしまう失敗を佐藤くんにアドバイスしています。

Point

ベテランの失敗① 見極めのタイミングが早すぎて失敗

小貫さん

佐藤くん、毎日がんばっていますね! 今日はそんな佐藤くんにとっておきの事例を教えます。ベテラン営業マンの失敗例です。

佐藤君

新人の僕にはわからない境地ですが、今のうちに聞いておけると心強いです。小貫さん、よろしくお願いします!

小貫さん

ベテランになるほどしてしまう失敗があって、そのひとつ目が営業活動の効率化を意識しすぎることで起こる失敗です。ムダやムリをできるだけ避けようとして、見極めを早くしすぎてしまうんですね。

見極めが早すぎるベテラン営業マンの心理

常に意思決定者の意向やクロージングのタイミングを意識

=「(上役が出席してないからこの商談は脈なしかな)」

ムダやムリをしたくないからお客さんの発注意欲を早めに聞いてしまう
=「どれくらいの金額だったら決めてくれますか?」

お客さん「(まだ商品の事もちゃんと説明してくれてないのに..).」

佐藤君

お客さんからしたら相談をしたくて呼んでいるのに、すぐに見切りを付けられたら印象が悪いですよね。

Point

話を広げないから、期待値も上がらない

小貫さん

ムリを避けるという点では、ベテランは商談を先まで見通せるからこそ、
話をあまり広げないという傾向もあります。

佐藤君

期待度が高くなりすぎると後が大変なので、ある程度まで話を広げたところで手を打って、早めにたたみに入ろうとするわけですね。

小貫さん

その通り。できる範囲を広げるムリをしたがらないから、期待値も上がらない。結局お客さんは「このくらいしかできないのか...」とがっかりしてしまったりすることも多いんです。

佐藤君

経験があるからこそ「ムダなことをしたくない」「ムリをして後で揉めたくない」という気持ちが強くなりがちなんですね。

小貫さん

常に商談をスマートに、手離れ良くやっていこうというベテランならではの心理といえるでしょう。

Point

ベテランの失敗② 経験則だけで動いてしまい失敗

小貫さん

ベテランは過去に経験したことがたくさんあるからこそ、「このお客さんにはこういうやり方で攻めるのがいい」という固定化したパターンがあります。

佐藤君

パターン化しているから、提案のスピードも早いし、迷いも少ないんですね。

小貫さん

そう、でもお客さんをパターン化しすぎて「このお客さんの場合は、可能性が低いな」と思い込んだりしてしまいがちです。相性が悪かったり説明のスタイルが合わない場合は、「このお客さんはダメだ」と早々に諦める傾向も強いのもベテランです。

佐藤君

新しいお客さんが過去の経験パターンに当てはまれば強いけれど、そのパターンに合わない人はすぐに諦めてしまうんですね。

小貫さん

ベテランの問題は、経験則だけに頼り、そこから振り返りをしなくなることです。なぜうまくいったのか? うまくいっていないか? を自分の言葉にできるまで振り返りしないから、固定化したパターンから抜け出すことができないのです。

Point

ベテランの失敗③ 説明が長すぎて失敗

小貫さん

最後に一番よくある失敗を紹介しましょう。それは、知識が豊富だからこそ伝えすぎてしまうというパターンです。いろんなことを知っているからこそ、すべてを伝えたいという思う気持ちが強いんですね。

佐藤君

僕の先輩はいつも「お客さんは次にこんなことを聞いてくるだろうな」とか、「こんなことを知りたがるだろうな」という先々の反応のイメージを持っていて、すごいなと思います。

小貫さん

でも先回りをしすぎて、お客さんが聞いていないことまで喋ってしまう人が多いんです。問題は、自分のイメージに縛られて、お客さんの課題を引き出さないまま話を進めてしまうことです。

佐藤君

たしかに説明ばかりで自分の質問に答えてくれなかったら、マイナスの印象を持たれてしまいますね。

小貫さん

話しすぎてしまうことで、「話の情報が多すぎて消化しきれない」とか、
「大変なことをやらなきゃいけないのでは?」というマイナスの印象を持たれてしまうことも多いんですよ。

佐藤君

相手の反応を見ずに話しすぎてしまうのは、新人だけでなくてベテランにもあるんですね。ベテランの失敗なんて、新人の自分にはまだまだ先のことと思っていましたが、今から意識できることがたくさんありますね!

今日のまとめ

経験や知識が豊富なベテランだからこその失敗がある。
①説明が長すぎる
②経験則だけで動いてしまう
③見極めのタイミングが早すぎる