「シナリオ」営業概論 part.24
〈二次営業〉での失敗編01:お客さまの期待、本当に理解してる?
■「モノ」売りに偏った手法による失敗例
今からご紹介するのは、二次営業の2パターンの失敗事例のうちのひとつ。「モノ」売りに偏った手法による失敗例です。
【顧客からメリットの見えない次回アポ】
□営業担当:前回お話しできなかったダッシュボード 活用事例をご紹介したいです。
■お客さま:まあ、同じ業界で似たような課題をお持ちの企業の話なら興味はありますが...(本音:ダッシュボード機能に興味があるわけじゃないんだけど)
□営業担当:来週あたり、ご予定いかがでしょう?
■お客さま:チョット忙しいので、来月でも宜しいですか?
ここでは大前提として、営業担当は一次営業での自らの失態には気づいていません。
本人に自己のパフォーマンスを客観的に評価できるスキルや能力が不足している状態では、自分で気づくことはないでしょう。
■「機能や事例」をゴリ押ししていませんか?
結果として彼は自分の一次営業を「上々の出来」と信じ込みました。
だから、このようなアポ取り電話をしているわけです。
このシーンで彼がしでかしている失策が何なのかは、もうお気づきですよね?
彼はまたしても「機能や事例」という「モノとしての売り」のゴリ押しをしています。
■自社起点から伝わるのは、クロージングへの思惑だけ
自社起点の目線から「初回に伝えられなかったモノの価値」を伝えながら、クロージングまで持っていこうという思惑が見え見えのアポ取りですから、当然お客さまの期待感は何も変わりません。
実際、アポの電話に対して、歯切れの悪い反応をしています。それでもなお営業担当は、ダッシュボードという機能を前回しっかり説明したと思い込んでいるので、その部分を訴求しています。
ただ、お客さまが反応したのは事例の部分だけです。自分の勉強として聞いてもよいかなという反応です。
訪問日の調整でも、後回しにされている空気がアリアリとしています。その空気に営業担当が気づいたとしても、もう彼にできることはありません。なぜなら、お客さまが期待していることを分かっていないのですから。
■お客様が期待していることを理解していますか?
さらには、お客さまが期待することが本当に存在しているかどうかさえ分かっていません。対応する価値のない悩みなのか、解が見えない問題意識なのか、解決すべき課題なのかも分かっていないのです。
分かっているのは、お客さまがアポを嫌がっているということだけです。
とにかく、この営業担当はお客さまの「事例を聞いたら、課題解決のヒントになるかもしれない」という歩み寄りの気持ちのおかげで、なんとか再訪のアポイントを取り付けました。