「シナリオ」営業概論 part.03

「モノ」売り or 「コト」売り、どっちが正解?

「モノ」売りと「コト」売り。正解はどっち?

「モノ」売りと「コト」売り。正解はどっち?

「売る」仕事の世界で昔からよく語られているのが「モノ」売りと「コト」売り。
正解はどちらなのでしょうか? 
まずはそれぞれの違いを見ていきましょう。

「モノ」売りとは

まず、モノ自体の価値を訴求するのがモノ売りです。
モノ売りでは、起点が自社となります。そして、いかに製品・サービスの価値であるベネフィットを伝えきれるかが鍵を握ります。
営業担当は、自社のモノという縛りの中で、それに合致するニーズを探しに行くわけですから、お客さまの話を聞きすぎると、自社が提供できるベネフィットとの「ズレ」が明らかになってしまいます。
つまり「あまりお客さまに話をさせすぎない」という態度で営業することが多くなります。
モノ売りでは、一件のお客さまに何度も足を運ぶのではなく、出来るかぎり訪問件数を稼ぐことが重要となります。
「売れる・売れない」の見切りはどんどんつけていき、次のお客さまに時間とリソースを振り向けていく。
これがモノ売りの基本、王道です。

「コト」売りとは

一方でコト売りでは、お客さまの課題を解決すること自体を価値として訴求します。
まさにソ リューションです。
一転して起点がお客さまとなります。
いかにお客さまの「課題」を引き出せるかが鍵を握りますから、営業担当はまず「いかに課題を引き出すか」を問われます。
そのうえで、お客さまの課題に合った、自社の製品・サービスを探しに行くことが次のプロセスとなります。
コト売りでは、お客様からすらすらと出て来る「顕在課題」だけでなく、その裏に隠れている「潜在課題」まで掘り下げて整理することが求められます。
モノ売りとは違い、丁寧なヒアリングや課題を引き出す「問いかけ」を重ね、整理プロセスを経た上で、ようやく次の段階、すなわち課題に合わせた解決策を検討して提案していくことになるのです。
課題の掘り下げやベネフィットのカスタマイズには時間がかかるため、一件のお客さまとじっくり向き合います。

もう気付いた? 正解は……

こんな風にモノ売りとコト売りの中身を精査すれば、双方の違いは明確になります。
モノ売りの場合、訪問を通して自社8:お客さま2くらいの会話の割合が理想形とも言われています。
一方で、コト売りに専念した場合、最初の訪問での発言量は自社3:お客さま7程度。
モノ売りで重視されるのは訪問件数、コト売りでは、訪問件数よりも今後の発展を期待できる有望なお客さまの数や、お客さまから聞き出す情報こそが重要となるのです。
実際に最前線で売るという仕事に携わっている方はすでに気付いていると思いますが、つまりこの問いの正解は「両方」となります。
難しさはそこにあるのです。

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