「シナリオ」営業概論 part.034

「合わせ」から「ズラシ」、そして「ズレ」を解消

合わせとズラシ

合わせとズラシ

実際に「ニーズ」と「ベネフィット」の「ズレ」を解消するところで使う手法が「合わせ」と「ズラシ」です。
お客さまのニーズにいったん話を合わせて共感を呼びながら、最後には提案をしたいベネフィットの方にニーズをズラしていくのです。

合わせとズラシには、ニーズに対して行うケースと、ニーズの裏にある課題まで立ち戻って行うケースがあります。
多くの場合は、課題まで立ち戻らないとズラシを行うことができません。

さらに、合わせとズラシを、課題レイヤーを変えずに行うのは極めて難しいアプローチになります。

ズラシはお客さまが納得してから

例えば、お客さまが「社内の報告業務の効率化を行いたい」というエグゼキューション課題を持っている場合に、課題意識のズラシをしようと、「報告業務の前にデータ収集を効率化しましょう」と同じエグゼキューションレイヤーで提案しても、コミュニケーションはかみ合いません。
お客さまは自分の要件を否定されたと感じてしまいます。

そこで、いったんお客さまの課題に合わせて納得感を得てから、新たなニーズへとズラシていく、という手法が功を奏していくのです。

ズラシの技術その1:課題のレイヤーを引き上げる

ズラシを行うためには、いくつかのやり方があります。
ひとつは、課題のレイヤーを引き上げることです。お客さまのニーズが「組織ニーズ」であれば、上下のレイヤーに必ずつながりがあるはずなので、課題のレイヤーを変えて話すことが可能になるわけです。

基本的な手法に「なぜそれを解決するのか」を問い直すことで、いま話している課題が本当に上位レイヤーの課題の解決につながるかを明らかにしていくやり方があります。

報告業務の効率化の課題を話しているのならば、「そもそも報告が必要なのか?」とか、「報告タイミングや頻度が適切なのか?」というように働きかけ て、業務の設計や体制を検討するオペレーションレイヤーまで引き上げていきます。

こうして課題レイヤーを引き上げた上で、その課題を解決できるかを議論していくことになるのです。

ズラシの技術その2:時間軸を変える

他にも、時間軸を変えるというやり方があります。
将来の課題まで意識を向けさせることで、目の前の課題の重要性を相対的に落とすのです。そうすることで、課題意識を将来の話へとシフトさせるのです。

こうしてニーズが変わり、その結果としてお客さまが求める要件も大きく変わることになります。
これこそがズラシであり、お客さまの納得感を常に意識しながら、課題レイヤーを変えることで、お客さまの課題の焦点をズラシていくのです。

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