「シナリオ」営業概論 part.39
〈二次営業〉での解決編05:ニーズとベネフィット=クロージング
■同じステップを辿ってもクロージングは変わる
【 ✕ 失敗編:一方的に機能を使うステップを熱弁 】
無料期間の設定
↓
無償 サポートの 範囲拡大
↓
期間限定の 割引
お客様A:.....................
お客様B:.....................
【 ◯ 解決編:クロージングにも反応 】
無料期間の設定
↓
無償サポートの範囲拡大
↓
期間限定の割引
お客様A:すぐに検討した方が良いですね。上司に相談します。
お客様B:次の報告までに使え るようになっていると 良いですね。
■キーワードは、ニーズとベネフィットがマッチすること
二次営業のゴールは、クロージングにつなげることです。
それには、お客さまから「ベネフィット」の評価を頂けているのが大前提です。そのためには「ニーズとベネフィットがマッチ」してなくてはなりません。クロージングでは、もうひとつの要素であるコストの部分を調整していくことになります。
受注できるレベルまで、コストを下げて、お客さまが納得するレベルを探っていくことになります。
■お客さまのベネフィットを理解することが大前提
これまで紹介した失敗編の会話ように、ベネフィットを受け入れられていない状況では何をしてもムダです。これは、「提示条件が悪い」とか「伝え方が悪い」といったレベルの話ではないのです。
ベネフィットをよく理解できていないのに、コストの話をされても、お客さまからすると何を提案されているのかさえ良く分かりません。完全に困惑してしまっている状態なのです。
■ベネフィットが伝わることが、スムーズなクロージングにつながる
一方、お客さまにベネフィットが伝わっている解決編では、「無料期間」「割引」「無償サポート」という失敗編とまったく同じことしか話していないのに、お客さまの反応は大きく変わります。
ここまでに、課題をハッキリさせつつ、その解決策になるベネフィットが腹落ちしているので、クロージングを受け入れる準備ができていたのです。
男性担当者は、上司にすぐに相談すると言ってくれました。
期間限定の割引に反応して、狙い通り急がなければという切迫感を持ってくれたのです。
女性の担当者も、無償サポートによって、導入後に自分が担当することになる運用への不安感がなくなったようです。
■シナリオ営業がコストよりベネフィットへの納得感を重視する理由
コストの側を動かすのが、最後の仕上げです。
仕上げの段階では、「シナリオ」にあまり自由度はありません。
そこで話せることは、価格を下げるか、同じ価格で対応範囲を広げるかしかないからです。
実際の営業の現場では、価格をいくらにするのかは重要なポイントだとは思いますが、シナリオ営業では重点を置いていません。
会社としての方針や経営状態も絡むので、営業担当だけではどうしようもない要素が入ってくるからです。
それよりも、クロージングに至るプロセスまでに、いかにベネフィットに高い評価を得られるかに重点を置いています。
解決編の営業担当は、事前にベネフィットへの納得感を得ていたために、コストを下げるという提案にここでも前向きな反応を得ることができたのです。