「シナリオ」営業概論 part.44

組織として問われる「シナリオ」の進化

完全なシナリオなどない

完全なシナリオなどない

実際に営業畑にいる皆さんを相手に研修を行うと、必ずと言ってもいいほど勘違いをする方が現れます。
それは「必ず注文を獲得できる『シナリオ』」があるという思い込みです。

言うまでもなく、そのように便利なものは存在しません。
いまはデジタル技術が急速に進化を続け、お客さまである企業の経営自体が先の見えない状況にあります。
変化が不連続なかたちで進み、想定外だらけの世の中なのですから、万能なシナリオなど、あるはずもないのです。

シナリオは、あなた自身がつくるもの

しかも「モノ」としての価値と「コト」としての価値の双方を、状況に応じて提示することが営業担当には問われています。
あらゆるセールスの現場はモノ売り100%でも、コト売り100%でもなく、双方のミックスで行われているという理解がシナリオ営業の基盤でした。

ですから、研修で先にあげたような受講生が現れた時、私は必ずお伝えしています。
この研修はシナリオを「私が作ってさしあげる」ものではなく、「あなたが作ること」の必要性を伝えるためのものだと。

シナリオを柔軟に変化させることがキモ

そして、製品やサービス次第でモノ売りとコト売りの最適バランス、つまりブレンドの配合比は変わってくるし、売る相手としてのお客さまの業界、部門、そして担当者の職位でも、それは変化します。
自社の商材とお客さまの立ち位置に合わせて、柔軟にシナリオを組み替えていくことが、シナリオ営業の本質となります。

変化に富んだお客さまを相手にするわけですから、こちらもシナリオを柔軟に変化させていくのです。

進化を促す「共通言語」はシナリオ営業の基本

けれども営業担当の個人だけでは、その変化にはついて行けません。
圧倒的にトライアル・アンド・エラーの回数が少ないからです。
組織としての営業部門が「共通言語」をもって、シナリオの進化を担保していく。
これがシナリオ営業の基本だということです。

さらにシナリオ構築と実行の両面において、「自社が提供する価値がどう評価されているのか」を組織と個人がしっかり共有できていることも、この基本を形成するための礎のひとつなのです。

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