「シナリオ」営業概論 part.45

〈営業会議〉での失敗編01:管理職に突きつけられる課題と対策

営業担当に「台本」営業をさせる「気合い先行」の営業部門

営業担当に「台本」営業をさせる「気合い先行」の営業部門

組織ぐるみでシナリオ営業に取り組まなければ、個人の失敗が繰り返される。
だとすれば、なぜこの発想や行動が浸透しないのか?

「〈営業会議〉での失敗編」では、その理由を探っていきます。

【 営業会議での気合い先行の「檄」を飛ばす部長 】
■営業課長:部長、今月の新規受注は16件で、予算よりも5件不足しています。来月の見通しも厳しいです。

■営業部長:きちんとキャンペーンの内容を伝えてる? 良いプロダクトなんだから、価格を訴求できれば勝てるはずだよ。

□営業担当:(本当にうちのプロダクトは他社より良いのかな⁉️)

□営業担当:(キャンペーンの値引きだけでは、お客さんも反応しないんだよ...)

根拠のない「べき」論で失われる大切なもの

営業案件の進捗を確認するためのよくある営業会議の風景ですが、ここでの問題は交わされている会話の内容、とくに管理職から出る助言や声がけです。

「ちゃんと伝えているのか」「価格を訴求すれば勝てる」と、どのお客さまにも当てはまりそうな言葉が出ています。どんなお客さまで、何を課題と感じていて、外部に何を期待しているかを確認しないまま、根拠のない「べき」論で自分達のアクションを確認しているのです。
こうしたやりとりが毎日行われている部門にいると、営業担当はお客さまの視点に立って、提案を発想しなくなります。

モノ売り発想のみの台本営業が一方通行の営業を生む

管理職はキャンペーンの内容や価値や価格といった決められたことだけを提案する「台本」営業を強いています。ここにあるのは便利な機能を手ごろな価格で提供すれば売れるという、お客さまのことを考えていない「モノ」売り発想だけです。

台本営業が成立するとすれば、以下のような前提が確実に存在している場合ならば、しっかりと機能を説明し切って価格への要望を聞き出していくことで成果は上がっていきます。

(例)
・お客さまのニーズにあまり違いがない
・お客さまが気にするのは機能差や価格差といった目に留まりやすく比較しやすい

違和感を声に出さない担当、本音を引き出そうとしない管理職

営業担当は、自社の製品やサービスの良さ・強さに疑念を感じ始めていますし、さらには値引きに反応しないお客さまの存在によって価格を訴求する効果や意義にさえ疑念を持っています。
お客さまと実際に話をしている担当の間では、台本営業が通用しないことはすでに肌感として伝わっているのです。

ここで問題なのは、営業担当がその違和感を声としてあげないことです。
「勝つ」ための有効な施策を管理職が発していないのだから、やむを得ないとも思いますが、今後の打開策をこの場で議論しようという当事者意識は見られません。

型にハマった檄を飛ばす管理職、疑念や反論を腹の中にとどめる営業担当。そして今日も終わる不毛な会議。これでは成果は上がるはずもないですし、メンバーも成長しません。組織としての力も向上していきません。

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