「シナリオ」営業概論 part.46
〈営業会議〉での失敗編02:「コトの価値」不在の営業によって失うもの
■「発注確度」オンリーの打合せ
【 顧客の発注ステップに片寄る問いかけ 】
次に「お客さまが発注を決めるステップ」についての話し合いが始まりました。
■営業課長:A社は、3ヶ月前から確度が変わらないけど、どうなってる?
□営業担当:毎週電話はしているのですが、まだ検討中だそうで。
■営業課長:ずっと検討中のわけないだろう。顧客は予算を取れているのか?
□営業担当:予算はあるようです。ただ、社内検討が残ってます。
■営業課長:予算があるなら、意思決定する人を聞き出して、会わせてもらえ。
□営業担当:稟議事項と聞いているので、役員が決定者になります。
■営業課長:早く役員に会わせてもらえ。
□営業担当:わかりました...
ここでは、先方の課題を解決するためのベネフィットを提示できているかどうかやそのための活動について触れるのではなく、「予算」や「意志決定者」といった相手の事情にばかり話題が集中してしまっています。
■発注ステップにばかり気を取られていませんか?
この会話には一切、お客さまからの視点はありません。
これは言ってしまえば、この営業部門全体が台本営業と発注確度にしか関心を持っていないということです。
つまり、お客さまが発注さえしてくれれば、受注できるのは自社だという勝手な思い込みがあるのです。
■「コトの価値」がないから「お客さま視点」が育たない
こうなると、若手社員が自社のプロダクトに疑問を持ち始めるのも当然です。
モノが提供するコトの価値、つまり「使用的価値」というものに誰も触れず、先方の発注ステップにどう乗せるか、という段取りにばかり執心しているのです。
これでは、製品・サービスの良さや強さへの自信が育つはずもありませんし、こんなチームに「お客さまの視点に立ったゴール設定」や「そこから逆算した『シナリオ』構築」などできようもありません。