コラム・対談 part.03

「シナリオ」営業とは

 「シナリオ」営業とは営業の進め方の「型」

●  「シナリオ」営業とは何なのか?

「シナリオ」営業とは

シナリオ営業は、顧客から受注を頂くまでの営業の進め方の「型」です。受注というゴールに向けて、必要なステップを逆算して設定していきます。各ステップで、顧客から引き出すべき情報と、それに対するアクションをシナリオ営業の発想に基づいて明確にすることができます。それぞれが独自のやり方で進めていたものに、「型」を持ち込むことで、営業に再現性を持たせ、初めて組織の知恵として蓄積することが可能になるのです。

●  なぜ、「シナリオ営業」が生まれたのか?

「シナリオ」営業とは

デジタル時代には、製品とサービスの垣根がなくなり、製品としてのソフトウェアをサービスとして提供するSaaS(Software as a Service)も増えています。モノをサービスとして販売する形、それに合わせて、営業でも「モノ」売りだけでない、「コト」売りだけでもない、新たな売り方が求められます。
シナリオ営業は、「モノ」売りと「コト」売りの二つの売り方を同時に実現するために生まれました。「モノ」売りで求められる自社からのベネフィット訴求という視点と、「コト」売りで求められる顧客の課題に合わせる視点を、営業ステップの中で両立するのです。

 「シナリオ」営業のゴールとしての「受注」確度のアップ

「シナリオ」営業とは

営業のゴールは受注です。受注できる可能性を「確度」という言葉で使っている企業も多いと思います。確度には、「発注」確度と「受注」確度があります。
発注確度は、顧客がそもそも購入するかです。顧客には購入しないという選択肢もあるのです。有名なBANTのフレームワークは、発注確度を確認するツールです。ちなみに、BANTとは、Budget(予算)、Authority(意思決定者)、Needs(顧客の求めているもの)、Timeframe(決定タイミング)です。受注確度は、競合他社を押しのけて自社が受注できるかどうかになります。このうち、受注確度を上げることが、シナリオ営業のゴールです。

「シナリオ」営業とは

受注確度を上げるには、自社が提供できるベネフィットと、顧客が感じるコストのバランスを変えることが求められます。当然、ベネフィットの重みを増やして、実感コストを軽くすることが目標となります。顧客が、ベネフィットを自社に役立つ価値として認めてくれる、それを導入するためのコストを大きすぎると感じない状態までの流れを作るのがシナリオなのです。

 「シナリオ」営業の4つの要素

「シナリオ」営業とは

シナリオ営業では、顧客の見極め、ニーズとベネフィットのマッチング、ニーズとベネフィットのズレの解消、ストーリーに沿った納得感の引き出しという4つの要素があります。
この4つの要素を、アポイントからクロージングまでの営業ステップの中で活用し、受注確度を上げていくのです。受注確度を上げるための最大の難関が、ニーズとベネフィットがかみ合わないズレです。ズレを解消していく際には、ベネフィットを変えるのではなく、顧客のニーズを変えることが求められます。ここが、コト売りとモノ売りを融合している部分です。

 ニーズとベネフィットのマッチングのために必要なこと

●  課題を深掘りして顧客を見極める

「シナリオ」営業とは

顧客を見極めるは、顧客の性格や好みを見極めるという意味ではありません。顧客の話を傾聴して、真の課題が何かを探り当てるのです。真の課題、またはその解決案がニーズとなります。
顧客の話はやっかいです。話の中では、課題まで至らない単なる悩みや解決策の見えない問題意識も出て来ます。逆に、課題の解決策まで具体化されていて、それに合う機能だけを求めている場合もあります。
大事なのは、対応するに値するニーズがあるかどうかです。我々は、それを企業という組織が求めるものとして「組織ニーズ」と呼んでいます。

●  ニーズとベネフィットのマッチング

顧客起点のニーズと自社起点のベネフィットを、いかに合致するかが問われます。顧客の組織ニーズに対して、価値として提供できそうなことを提案していきます。これが、ニーズとベネフィットのマッチングです。ニーズとベネフィットが合致して初めて、顧客は興味を持ち、価値に気づいてくれます。
多くの場合、ニーズとベネフィットはズレています。ベネフィットは、一朝一夕には変えることはできません。そのため、ニーズをベネフィット側に引き寄せざる得ません。

●  「合わせ」と「ズラシ」でズレを解消

「シナリオ」営業とは

ニーズは動かすには課題から変える必要があります。そもそも課題の前提を変えてしまうか、課題自体を動かしてしまう方法があります。課題の前提を変えることを土俵を変えると我々は呼んでいます。
相手の課題を聞き出し、その中の組織ニーズを見極めて、ベネフィットと合致するようにズラしていく。これは、ゴールである「受注」確度が上がった状態から逆算しないとステップを組み上げられません。「シナリオ」営業とは、相手の反応の想定しながら、このステップを練り上げていくことなのです。

●  ストーリーとして伝える

顧客のニーズをしっかり理解して、せっかく良い提案をしているのに、顧客から評価されない営業マンがいます。相手が理解しやすい順序で話していないので、伝わらないのです。
理解してもらうためにはストーリーを作ることが求められます。具体的には、「そうそう」「へえ」「なるほど」という流れを作るのです。この流れに合わせて、確度の確認や課題の深掘り、ニーズとベネフィットのマッチング、合わせとズラシを行っていきます。

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