小貫さん
1,000人の営業を見てきた
コンサルタント。
「シナリオ」営業 相談室 vol.011
営業エキスパートの小貫さんが、今日から使える営業のポイントをわかりやすく解説します。
1,000人の営業を見てきた
コンサルタント。
1年目の新人営業マン。
あなたは提案にどのくらいの資料を持っていきますか?多い方がいい?それとも少ない方がいい?
今回は意見が分かれるこのテーマについて、あえて白黒をつけて行きます。
「多すぎる資料には落とし穴がある」その理由をわかりやすく解説していきます。
Point
先輩に「提案に持っていく資料の適切な量は?」と聞いてみると、みんな言うことが違うんです。できるだけ多く持っていく人もいれば、ありもののカタログ程度しか持って行かない人もいて。
今はタブレッドやPCの画面で資料を見せることが多いけれど、昔は大量の紙を印刷して持っていくこともありました。今は電子データになった分、転ばぬ先の杖として、際限なく資料の量が増えているという人もいますね。
資料をほとんど持っていかず、お客さんとの会話をする中で、提案内容を伝えきってしまう先輩もいます。結局、多い・少ないではどっちがいいんでしょう?
極論を言ってしまえば、売れさえすれば、資料の多さや少なさは別に関係ないです。でも、多すぎる資料にはメリットがありません!
なぜですか?
Point
資料はプレゼンで説明したあとに、お客さんが自分でその内容を振り返るためのツールとしても重要な役割を担っています。だからもし資料をなにも残していかなかったら、お客さんは話の内容を思い出せず、そのまま忘れられてしまうかもしれません。
それなら、やっぱりできるだけ多く内容を織り込んだ資料を残したほうがいいですね。
いや、そうでもないんです。例えば営業マンが帰ったあとにお客さんがひとりで「あの話なんだっけ?」と、もう一度説明を受けた内容を見直すとしましょう。そのとき、資料が100枚あったらどうでしょうか?
100枚も...僕ならそんな大量の資料をそもそも見返す気にもならないし、見たとしても説明された部分をなかなか見つけられなくて困りそう。
そう、多すぎる資料はお客さんの意欲を下げてしまい、聞いた話だけが判断材料になってしまう可能性があるんです。結果的に多すぎる資料では、もともと伝わっていたはずの話も他の情報が邪魔をして、理解度が下げてしまうわけです。
Point
先回りはとても重要ですが、あれもこれもと情報を準備するのではなく、自分が伝えたい流れに合わせて必要なことだけを伝える必要があります。この提案の流れこそがストーリーです。
営業はストーリーに沿って提案を語るべきと小貫さんがよく言っているのはそういうことなんですね。
そのストーリーを過不足なく伝えるという役割こそが、提案資料に求められるのです。お客さんはストーリーの中で説明されるからこそ、前後の文脈から理解をしやすいんです。
たしかに、100枚の提案資料の中でストーリーの流れを作るのは、かなり難しいですね。
資料がお客さんにとっては雑多な情報の集まりになってしまえば、お客さんの理解を深めさせて、興味と関心を喚起することはできませんよね。目的をきちんと見極めて、1時間の商談だったら、2〜30枚の提案資料にするべきです。
頑張って作ったその資料が、お客さんの混乱を招いてしまうこともあるんですね。
資料の目安は、1時間の商談だったら、2〜30枚。
お客さんに分かりやすいストーリーを過不足なく伝えるという営業の本質に立ち戻り、資料の量を見直してみよう。