「シナリオ」営業概論 part.033
あえて「モノ」売り発想でお客さまを動かす
■「理解のズレ」を解消する
お客さまの「ニーズ」と「ベネフィット」との間に「ズレ」がある場合、まずやるべきなのは「理解のズレ」を解消することです。
その上で、ベネフィットを正しく理解してもらうため、実際に製品を見せたり、使ってみせるデモも行います。
形のないサービスの場合ならば、活用シーンや事例を紹介することで、ベネフィットへの理解を深めてもらいます。
■”使用的価値”まで理解できてる?
一方で、営業担当自身がベネフィットを理解しきれていないこともあります。
Part029-030で説明した「機能的価値」と「使用的価値」でわけてみると、機能的価値を理解していない営業担当はいません。
一方で、使用的価値までしっかり理解して、お客さまに伝えることができている営業担当は非常に少ないのです。
なぜなら使用的価値を理解するには、お客さまのことを深く理解している必要があるからです。
使用的価値を提案するためには、お客さまの仕事の進め方や日頃のアウトプット、さらに関係者とのやり取りまで理解している必要があります。
■「シナリオ」営業とそれ以外のわかれ道
使用的価値までベネフィットの範囲を広げるとしても、何もないところからそのベネフィットが生まれるわけではありません。
なので、営業担当がお客さまに提案できるベネフィットにはどうしても限りがあります。
製品・サービスの開発スピードが上がっているデジタル時代ですから、一ヵ月でバージョンアップして、ベネフィットを変えることも理屈上は可能です。
しかし現実的には、個別の機能を付け加えることができても、製品・サービスのコアとなるベネフィットはそれほど簡単には変わりません。
なぜなら本来のベネフィットは、製品・サービスのコンセプトとしっかりと結びついて生み出されているからです。後付けでしかない付け焼き刃では、その水準にまでは達しません。
大切なのは、そこでどうすれば良いのか、 ということですが、結局のところ、ニーズを動かすか、ベネフィットを動かすほかありません。
■ニーズを変える「シナリオ営業」
シナリオ営業では、ニーズを変えるのです。そのために、シナリオを作っていくのです。ベネフィットを変えるのであれば、それは単なる「コト」売り営業でしかありません。
あらためて整理しましょう。ニーズを見極めて、ニーズとベネフィットのズレを把握するまでは「コト」売り発想がメインです。
でも、その先ニーズを変えるところからは「モノ」売り発想がメインになっていくのです。ここまで、しつこくモノ売りとコト売りの話を言ってきたのは、この使いわけをきちんと理解してほしいからです。
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Part 029
機能的価値とは?〜「機能的価値」と「使用的価値」を使い分ける
https://scenario-sales.straddle.co.jp/journal/introduction/30
Part 030
使用的価値とは?〜「機能的価値」と「使用的価値」を使い分ける
https://scenario-sales.straddle.co.jp/journal/introduction/31