「シナリオ」営業概論 part.031

使用的価値とは?〜「機能的価値」と「使用的価値」を使い分ける

使用的価値とは?

使用的価値とは?

使用的価値とは、製品・サービスを使った結果として、ユーザーが得られる新たな価値のこと。
使用することで「業務効率化だけでなく、事業の戦略まで見直した」とか「使ううちに、社内の仕組みまで変革できた」といった価値のことです。

例えば、販促業務を効率化するためにツールを導入したとします。
導入の結果として、販促施策の効果が見えるようになり、想定していたターゲット層が実は反応していなかったことがわかる。そして、マーケティング戦略の見直しにまでつながる。
これも使用的価値です。

使用価値の評価はお客様によって変わる

Part 24~28の<二次営業の失敗編>での営業担当にはこの使用的価値を見出し、提案を工夫する姿勢がありませんでした。一方で、誰にでもウケる使用的価値が製品・ サービスに必ず備わっているケースなどまずありません。
なぜなら使用的価値は、お客さまによって価値認識が異なる相対的な価値だからです。「あるお客さまには すごく評価されるのに、他のお客さまにはまったく評価されない」というケースがよく起こります。

では、何が糸口になり得るのでしょうか。

必要なのは使用的価値を上位レイヤーとつなげる工夫

使用的価値では、課題は単発ではなく、上位レイヤーの課題とつながっています。
営業担当はお客さまの視点をそういう方向にも向けなければいけません。経営ビジョンや事業戦略から降りてくる目的に合うかどうか、ユーザーが実際に業務で活用できるかどうか、そして具体的な活用シーンが目に浮かぶかどうかが問われるのです。

ルンバにみる機能的価値と使用的価値

全自動掃除機のルンバには、掃除機が自動的に動き回って掃除をする機能的価値があります。
さらに、どちらが掃除をするのかでいつもモメている夫婦にとっては、ケンカが減るという気持ちの安らぎを得られる使用的価値もあるはずです。

使用的価値は評価環境で決まる

使用的価値は「掛け算の価値」であり、「目的の合致度」、「活用できる ユーザー範囲」、「活用シーンの範囲」により、相乗的に価値は増加します。

お客さま担当者にしても、価値を正しく評価するためには、自社の経営ビジョンや事業戦略を理解している必要があります。だから必然的に「管理職以上でないと評価が難しい」パターンが増えていきます。

「コト」売りとの相性は良い

機能的価値の説明だけならば、一度の商談で完了できる場合が多くあります。
一方、使用的価値を訴求するなら「組織ニーズ」を把握する必要があり、そのためには最低2回以上の打ち合わせが必要になってきます。

使用的価値は、短期間でのクロージングを目指す「モノ」売りとは相性が悪い一方で、相手の課題を引き出す「コト」売りとは相性が良いという点を覚えておいてください。

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Part 24~28 <二次営業の失敗編>
https://scenario-sales.straddle.co.jp/journal/introduction#3

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