「シナリオ」営業概論 part.32

「ニーズ」と「ベネフィット」の「ズレ」に気づいていく

「ズレ」には2種類がある

「ズレ」には2種類がある

お客さま起点の「ニーズ」と自社起点の「ベネフィット」がいつも完全に合致していたら、営業の仕事は楽でしかたがないでしょう。けれど、まずそんなことはありません。

営業担当が提示してきたベネフィットに対して、お客さまは自分の期待との違和感として「ズレ」を訴えてきます。ズレには、営業担当の至らなさによって発生してしまったものと、お客さま側の事情で仕方なく発生するものがあります。

ズレを防ぐ3段階のコツ

Part 24~28の<2次営業の失敗編>で見ていったのは、営業担当がお客さまのニーズをしっかり理解していないという営業担当の至らなさによりズレが発生したシーンでした。
このケースでは、まずしっかりとお客さまの話を聞き、課題を理解することが第一歩となりますが、それだけでズレの発生を防げるわけではありません。
課題を正しく把握した上で、ニーズを想定し、それに合ったベネフィットを提示しないと、ズレは防げません。

営業担当は、「課題の理解」と「ニーズの想定」、「ベネフィットの選択」という3段階でズレが発生しないように気をつけることが求められます。

事例① デジタルツールに夢を抱くお客様

ただ、お客さまからのニーズが、自社の提供できるベネフィットの範囲を超えてしまう場合には、営業担当にはどうしようもありません。

例えば、「AI(人工知能)を使って、営業活動を自動化して欲しい」と言われても、どの営業担当も現時点で提案できるベネフィットを持っていません。
デジタルツールの場合は「全て自動化できる」というような夢のような期待をしているお客さまもいます。そのようなお客さまには提案できるベネフィットはありません。

事例② 時間の経過とともにニーズが変化するお客様

また、お客さまから示されるニーズが、提案が進むにつれて変わってくるようなケースもあります。
特に一次営業から二次営業までの時間が空くと、その傾向は強くなります。
時間の経過とともに、お客さまの社内での前提条件が変わったり、担当者自身の頭の中が整理されてくるためです。

しかし、だからといって、お客さまの話が変わったことに目くじらを立てていても仕方がありません。
本来、人間は一貫した姿勢を保ちたいという意識が働く生き物。
それなのに話が変わったのであれば、そこには相応の理由があるのだと考えましょう。

ありのままのズレを解消することこそ、受注の山場

ズレは必ず発生する。そうわきまえることが大切です。
そのうえで、発生したズレがどのニー ズとベネフィットの間で生じているのかを、冷静な頭で正しく把握していくべきなのです。
冷静な頭でいるためには、自分の意見を守ろうとして、相手からの指摘の矛盾を突くことばかり考えていてはダメです。
まずは、ズレをそのまま受け止めて、余計な解釈を加えないことが必要です。

ありのままのズレを、いかに解消していくかが、受注に向けた大きな山場となります。
そのためにも、正しいズレの理解は不可欠なのです。

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Part 24~28 <2次営業の失敗編>
https://scenario-sales.straddle.co.jp/journal/introduction#3

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